2025.08.19

CUSTOM MEETING_JAMZ CUSTOM MADE

デザインから紐解く加工のプロセスを考える面白さ

藤沢・江ノ島駅に降り立ち、汐風の歓迎を受けながら歩くこと数分。普通に歩いてたら絶対に気づかないような建物の裏側にあるJAMZ CUSTOM MADE。そこは、オーナーの石原さんが営む唯一無二の「ものづくり屋」だ。刺繍・シルクスクリーン・カッティングシート・OEM生産などなど、幅広いに製作に対応してくれる。ものづくりの万屋とも言えるのではないだろうか。

私はいつも刺繍加工をメインに依頼させてもらうのだが、JAMZ CUSTOM MADEに加工を依頼した商品は、実際に依頼人から「まさに、こういう仕上がりにしたかった」というような声をいただいたり、商品を買った人からも「こんな刺繍の表現も出来るんだ」と驚かれるような事もあった。

今回は刺繍にフォーカスを当てて、加工の面白さをJAMZ CUSTOM MADEからご紹介。

なぜこんなにもデザインデータよりも加工された実物の方がかっこいいと思わせることができるのか。それは、石原さんが長年様々な加工に携わってきた中で生み出された、独自性も含まれた表現力の豊かさなのだと、話を伺っていく中で改めて確信した。

表現力の肝はデザインの中で縫い方を組み合わせ、簡略化するのではなく、より良いデザインになるように光の当たり方をも縫い方で操りながら、完成度を上げていく刺繍データ作成の作業だった。「より様々な表現が出来るように、縫いデータのバリエーションなどをソフトで追加購入していたら、気づいたらとんでもない額になっていた」と、笑いながら話すエピソードからもモノづくりへの愛を感じる。

今回依頼させてもらったのはこちらの2つのデザインだ。両ボディとも加工でもっと使ってもらいたいと思う商品をピックアップし、そのボディからイメージするデザインを考えてみた。糸色の指定はデザインのイメージと少々異なるカラーを選んだ。

まずは、Made in Canadaの3世代続く経営で培った伝統とイノベーションを融合させてプロダクトを製造しているRedwood ClassicsのPolar Crewneckを使用した刺繍加工からご紹介。

このボディは100%コットンの20ozの裏起毛で、テーパドが少し利いているシルエットで、リブも程よく締まりがあるため、防寒にも優れている。その分、裾の方のたゆむ感じも相まってどこか80年代調に感じる。4本針フラットロックステッチで丁寧に縫製されているので、耐久性もデザイン性も良いボディとなっている。

ボディの作りからデザインは80年代風に、面白い刺繍が見れたらいいな、なんて思いながら、線の文字がベタの文字と複雑に絡んでいる知恵の輪のようなデザインにした。線とベタの文字で見え方の差を付けたかったので、自分の乏しい知識の中のサテン縫いとタタミ縫いで違いをつけれるのかなというふわっとしたイメージで発注した。

※サテン縫い:端から端までをステッチする縫い方。いわゆるジグザグ縫いのピッチが詰まったようなイメージ。文字やワッペンの周囲などで多く使用される、光沢が出やすい縫い方。

※タタミ縫い:文字通り畳のように細かなステッチで面を埋めるイメージ。針落ちが多くなるため見た目の光沢は減り、マットな感じになる。

今回縫いを担当してくれたのは、いつも製作についての連絡のやり取りを多くする小笠原さんだ。いつも丁寧で、痒いところまで手が届く対応に頭が上がらない。

小笠原さんと石原さんは古い友人で、二人とも音楽やダンスなどのストリートカルチャーに深く通じている。JAMZ CUSTOM MADEが制作しているプロダクトは幅広いカルチャーに通ずる、名だたるレーベルやブランドも多くある。どのプロダクトも目を引くものが多い。

完成したものを見ると、「まさに、こういう仕上がりにしたかった」と思った。石原さんが丁寧にこのデザインの刺繍について説明してくれた。

カラー部分はサテンとタタミを複合した縫い方になっており、つや感が残りつつ、畳のような平たい感じになっている。この縫い分けによって光の反射が調和し、全体的にツヤ感があるのでリッチな感じがありつつ、線とベタの立体感が異なるので、刺繍によってデザインに奥行きが生まれた。

線の文字同士も知恵の輪のように引っかかっているように、石原さんのセンスで縫い分けてくれていた。ローマ字の「O」で説明するとリブ側から「S」に掛かる部分をみると「S」の線の上を通って上を通って下を通って、下を通っている。こうなっている事で、より文字が立体感を持ちながら複雑に絡み合っているように見えるのだ。

こんな言い方じゃ何を言っているかよく分からないという方もいらっしゃるのは重々承知の上、ビアトランスポーツのショールームに展示しているので、ぜひ多くの人に実物を見に来て欲しい。

続けてご紹介するのは、唯一無二なギミックが備わったプロダクトが魅力のバックメーカーWHEARDとの協業で作成したメッセンジャーバッグを使用したワッペンの刺繍加工をご紹介。

大きなマチや、A4サイズがすっぽり収まるインナーポケットによって大容量を実現した商品。体に沿うように配置されたショルダーストラップや、マチ部分のストラップにより内容物がホールドされ、アクティブな動きにも対応可。大きなフラップの内側には加工用のファスナーが取り付けてあるため、フラップの真ん中が一番最適に刺繍加工が可能。全6色のフラップのカラーが選べるのも、加工に持って来いな商品だ。

今回は少し無理を言って、フラップの端の方にワッペンの縫い付けを依頼。ボディの仕様上、端の下の方に縫い付けるのは難しかったので、何とか加工可能な上の方に縫いつけてもらう事にした。

以前の制作依頼の際に感動したのだが、画像を見てもらうと分かるように縁取るように刺繍機でのワッペンの縫い付けを提案してくれる。今回はどうしてもこの加工法についても紹介したかったのと、ワッペンの製作依頼も増えて欲しいという想いでこの加工サンプルを依頼した。

ワッペンのデザインデータは敢えて手書きのサンプリング感漂う、チープな雰囲気のラフなデザインにした。謎動物のポケットの部分と胴体の部分で違うパーツ感を演出するために、石原さんが縫いの方向を分けてくれた。

文字のデータのぐちゃぐちゃっとした部分も、立体感を出しながら、綺麗にイメージ通り出るように、何パーツも分けてデータ化されている。

刺繍によって、よりデザインが生き生きしているように見えた。

引きで見ると更に立体感を感じる。ワンポイントデザインを入れることによって、無地ボディがオリジナリティあふれる圧倒的な存在になるのが加工の魅力だという事を再認識したのと同時に、無地ボディの面白さを改めて感じる。

今回はJAMZ CUSTOM MADEの一部加工スタイルをピックさせていただいて、データから実物になるまでの加工のプロセスの面白さをご紹介した。

こうやって様々な人の手や想いを通して丁寧に作られている事を知ると、より加工の価値を考えるきっかけにもなる。

JAMZ CUSTOM MADEの職人技に魅了され、江ノ島を後にした。

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